2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

アントワーヌ・ベルマンの二つの著作と、ある新鮮なベンヤミン論

最近アントワーヌ・ベルマンが国際哲学コレージュで行ったセミナーの記録が相次いで日本語に翻訳された。『翻訳の時代』と『翻訳の倫理学』である。読んでみたら、どちらも相当に面白かった。以下その感想のようなもの。まずは『翻訳の倫理学――彼方のものを…

二葉亭の「逐語訳」の「影響力」をめぐって

二葉亭四迷といえば逐語訳であるけれど、「余が翻訳の標準」を素直に読めば、語数やコンマ、ピリオドを原文と同じくするという、「あひゞき」初訳で試みられた厳しい逐語訳の方法が、彼にとって最善のやり方ではなかったことがわかる。もし自分に筆力が備わ…