2012-04-27から1日間の記事一覧

声を水に流す――朝吹真理子『流跡』の話法について(前編)

幸田文の小説『流れる』は、こう始まっている。「このうちに相違ないが、どこからはいっていいか、勝手口がなかった」。ふつうの日本人であるならば、この文を読んで、格別のひっかかりを覚えることはないはずだ。けれど、このとてもやさしい短文も、これを…